「300%スパニッシュ・デザイン展」「ファッションとスペインの文化」(愛知万博関連企画)
今日10/10は、埼玉県立近代美術館にて開催されていた「300%スパニッシュ・デザイン展」「ファッションとスペインの文化」(2展同時開催。=愛知万博スペイン・パビリオン関連企画)の最終日であった(チケットの半券をアップ)。
私は格別ファッションに興味があるわけではないが、"文化史や、デザイン・服飾史の中のファッション"という見方をすれば若干の興味があって、LOUIS VUITTONや、ココ・シャネルなどの人となりなどにも興味がある。
先日、一時はモードからの現役引退を宣言していたKENZOこと、高田賢三さんが復帰されたというニュースが発表されたが、日本が世界に誇る服飾デザイナー――、三宅一生、山本耀司、川久保玲などが台頭する数十年前、1920年代以降のパリ(やモンマルトル、モンパルナス)では19世紀末の万国博覧会の開催ラッシュにより世界が近づき(ベンヤミンの言葉を借りて言えば、「礼拝的価値」から「展示的価値」へ移行し、さらには流通革命を起こし)、現代のファッションやインテリアとのコラボレーションにも通ずるデペイズマン的な邂逅が多く見られるようになった(cf.「フィリップ・スタルクとバカラのコラボレーション」)。
――そういえば、大学の卒業旅行のときに中学時代からの親友二人でアメリカ4都市を周遊したが、ビバリーヒルズのロデオドライブ周辺を散策しているときに、連れの友人が来ていた黒いコートを見て現地の人が「ヨージ・ヤマモト?」と聞いてきて、安物のコートだった友人はその後ずっと浮かれていたものだった(笑)。
ジョルジュ・バルビエ、ルパープ、マルティ、マルタンら、また、エルテを代表格とするアール・ヌーヴォーやアール・デコの時代が去り、バウハウスや未来派などの前衛芸術が花開き始めた時代――、戦争による徴兵・召集によって女性が台頭した時代、ロシアからはディアギレフのバレエ・リュスが、イタリアからはエルザ・スキャパレリがダリやコクトーを介してアンドレ・ブルトンらによるシュルレアリスム運動の吸引力に引っ張られ、ピカソやミロらを生んだスペインからはクリストバル・バレンシアガが、既にファッション王ポール・ポワレや「ニュールック」で一世風靡したディオールらとのモード対決に打ち勝った女王シャネルに対抗するために続々と集結してきたような、ファッション史上の中でも怒涛の時代であったと言える(cf.「晴天の中、「ミロ展 ~世田谷美術館~」へ」)。
さらに、写真技術や印刷・出版の技術も発展し、それまではイラストによる広告(cf.『かの悪名高き十九世紀パリ怪人伝』)等しか行えなかったファッション広告の表現も多用になってきたことで、モードの普及が加速した。
このように単に「服」一つとってみても、それを取り巻く文化史上の出来事や登場人物が膨大で、美術や文学をはじめとした各種芸術運動、バレエや演劇などの舞台芸術、実験映画や音楽、宮廷文化から受け継ぐ陶器やガラス製品、あるいは照明等の工芸・インテリア、写真史、出版・印刷の歴史、ポスターや広告史、建築史、(民族史的観点からの)衣装etc……と、ほぼ同時多発的に様々な事象が入り乱れた結果、人々のライフスタイルが進歩した経緯を振り返ってみると、いろいろと面白い相関関係があって楽しめる。
余談が多くなってしまったが、本展では先に述べたスペインが生んだ偉才――、ピカソやダリ、ミロ、古くはベラスケスに至るまで、現代のファッション・モードの基盤となった芸術作品に影響を受けた作家による照明やポスター、イス、ドレスなどが多く展示され、企画展を企画した方の熱い意図が伝わるかのような、スペイン文化にどっぷりと親しめる展示内容であった。愛知万博(スペイン・パビリオン)の関連企画ということで、当の万博では時間がなくあまりゆっくり見ることができなかったので、今回改めてじっくり見ることが出来て良かったと思う。
■参考サイト
・「ファッションの歴史 - モードの世紀」
カテゴリー:[ 美術展 ]