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「サムライ魂でデパートを創れ!~近代百貨店誕生物語~」

 NHKで放映されていた「その時歴史が動いた」を見た。歴史が動くときには得てして誰それかの「決断」がある。どういった思いで事業に当たったのか――?時の経営者に少しでも学びたい気持ちで見入った。
 百貨店の歴史をさかのぼると、古くはロンドンやパリで行われた万国博覧会へとたどりつく。元来私はそうしたイベント・行事に興味があったため、純粋に面白そうな特集だとも思っていた。この日の特集は昨年の11月放映分の再放送であった。

 昨年の百貨店業界はと言えば、数年前からの不況で百貨店業界全体の売上が低迷し、多くの再編やリストラなどが行われる中、電車の中吊り広告で派手に宣伝されていた、「"デパートメントストア宣言"から100年」という三越百貨店のコピーが妙に感慨深い、そんな催事の広告を何気なく見入ったものだった。

 今日の主人公は、その三越の創始者・元会長、日比翁助(1860-1931)である。日比翁助はもともと三井銀行で働いていたが、ある日のこと、三越の前身である三井呉服店へと引き抜かれた。その目的こそが、当時経営が逼迫していた三井呉服店の再建だった。ところが近代化の進む明治中期以降の日本は、日清・日露戦争など緊迫した世界情勢の中に置かれており、時代は非情にもこうしたサービス業優勢ではなく、重工業に重きが置かれる風潮が自然と高まっていっていた。

 そうした時流の中で日比翁助率いる三井呉服店は、とうとう三井の傘下を離れることを余儀なくされるのであった。時は1904年、この番組の放映された100年前――、つまり先の「デパートメント宣言」がなされた年へ向かってゆく。

 慶應義塾在学時代に影響を受けた福沢諭吉の「"利"よりも"義"を重んじる」思想――、「士魂商才」の念(解説の方の言葉を借りて言えば、「公共」「社会」「人倫」「規範」「節度」といったような「武士道」というよりは「士道」と呼ぶに相応しいもの)を胸に、伝統あるイギリスの百貨店ハロッズを視察するために渡英した日比翁助は、そこから多くのことを学ぶこととなった。

 それは、解説の方が言っておられましたが、「公共空間の創造」「商品を選択できる主導権を消費者に」の実現であり、それは従来までの旧態依然とした日本の商習慣を画期的に覆すやり方だった。社会に貢献するデパートとして、戦後は未来を切り開いてゆく子供たちのために、児童博覧会の企画なども行ったそうである。

 また、社員教育に関しても全く新しい手法を導入したとあった。「持ち株会」の設置や、業績の3割を賞与還元するという「能力給」の導入である。こうした(百貨店に関する)有徳者による経営論、伝記・回想記は、以前私も読んだことがあった。

 ノードストローム・ウェイ 絶対にノーとは言わない百貨店』、『百貨店の誕生―都市文化の近代――。

 いずれにしても言えることだが、「お客様」にいかに良い気持ちでご利用いただくか。何も「お客様は神様」なんかではない。サービスを提供する側がいかに気持ち良くなるために、そこを利用するお客様を気持ち良くさせるか、なのである。パーティーや祝宴の席で主役を驚かせるようにして喜ばせる「サプライズ」の提供が、サービス精神の表れであるとするならば、お客様に喜んでもらう、しかも予想以上に、または驚く程喜んでもらう。それこそが「サービス」の本質であると思う。

カテゴリー:ニュース時評

投稿者 cyberpoet : 2005年01月27日 05:22

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