『海賊の歴史 カリブ海、地中海、アジアの海まで』
昨日の日記でイギリスのことについて書いた際、なぜかふと「海賊」を連想し、以前に読んだ『海賊の歴史 カリブ海、地中海、アジアの海まで』という本を思い出した。
実はこの本、類似した内容の本に『図説 海賊大全』というのがあって、そっちは定価4725円と高価で買えなかったため、甘んじて買った本である(笑)。リブロポートから出ていた『海賊の世界史』(絶版)にしても同様である。ところが読み始めてみると結構面白い。
この本は、創元社から刊行の始まった「知の再発見双書」シリーズの一冊である。出版社のページには、「フランスのガリマール社最大のプロジェクト「ガリマール発見双書」を原本とし、歴史、考古学、音楽、科学など人類の「知の遺産」を豊富なカラー図版とともに、解説。」と解説があった。これまでにも他の出版社がこうしたエンサイクロペディア風、叢書(アンソロジー)的な企画刊行物は多数出していたかとは思うが、カラー図版が入っていながら、大きさも値段も手頃な新書サイズというのが読者としては嬉しい。
内容の方は、副題の「カリブ海、地中海、アジアの海まで」が示す通り、実在した古今東西様々な海賊たちについての言われが書かれている。
ディズニーランドの「カリブの海賊」が子供の頃、ディズニーランドで一番好きなアトラクションだったと記憶しているが、映画やおもちゃにもなった「黒ひげ」のモデル?であるカリブの海賊エドワード・ティーチ、そのキャラクターや相関関係の面白さから劇などでテーマにも選ばれることも多いと思うイギリスの女海賊メアリ・リードとアン・ボニーについての逸話、キャプテン・キッドことウイリアム・キッドはもともと海賊討伐のために派遣された人物だが後に自らが海賊行為を行うようになったという、まさにミイラ捕りがミイラになるような話、漫画やテレビアニメやゲームにもなった人気の『ONE PIECE』に登場するキャラクターのモデルとなった人物――、フランシス(フランソワ)・ロロノアや、ヘンリー・モーガンについて等、興味深い言及が、それほど難しくならない程度に紹介されており、平易に読みきることができる本であった。
そういえば先の『ONE PIECE』の作者、尾田栄一郎氏の書いた文章が漫画の巻末か何かに書かれてあったのだが、幼少時代に親しんだという『小さなバイキング ビッケ』は、私も小さな頃見ていたことがあったし、海賊たちが暗躍した「大航海時代」のネタに関してはゲーム(スーファミ時代だが)などでも楽しんだものだ。大体にして「海賊」と言うと、ユトレヒト条約云々ではなく、とにかく殺人や略奪や放火など犯罪であることはもちろんだが、山賊よりも残忍な恐くて悪い人たちというイメージがあるが、同時に世界史上に登場する海賊、そして実在はしないけれども物語中に登場した海賊、彼らが宝の地図を元にかつての伝説の海賊たちが世界中から集めた宝物を隠した海の孤島を求めるという一般的な物語のモチーフには冒険小説の定義の一つとしては当然のこと、他にもユートピア小説としての要素もあるかと思う。また、「かつての海賊が集めた宝物を求める」というところにある種の円環構造があり、タイムカプセル的ループを想像させる作中作の物語の構成に一層のワクワク感のようなものも芽生えてきてならない。
物語の中における海賊の登場、そして彼らの演じた役割は構成面から見ても重要で、スティーヴンスンの『宝島』で描かれるシルヴァー船長の特徴である義足の風貌、海賊ではないが私掠の歴史的側面、または博物学的見地から見ても楽しめるかつては小説や映画で興奮しながら見ていた『白鯨』(cf. http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0300.html )で、海の怪物モービー・ディックに足をかみちぎられたエイハブ船長の異様なまでの復讐心など、キャラクターの風貌や性格、船や食べ物の描写、船員(海賊)たちの間での規則や反乱意識へ転じる流れなど、物語の醍醐味をもたらす要素となるケースが多いと思う。私自身は、以前にも「過去の冒険小説には「夢」や「教養」があった。」に書いたように、そうした「冒険小説」の中の系譜の一つとして「海賊」というキャラクターに興味を持った。
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