メンクラ(『MEN’S CLUB』)創刊50周年、「時代の証言者」を読んで。
『MEN’S CLUB』(アシェット婦人画報社)という雑誌がある。1954年創刊とあるので、今年でちょうど創刊50周年だ。
また、婦人画報社と言えば、他にも『marie claire』『ELLE JAPON』『ELLE DECO』『BON VOYAGE』などの雑誌を出している老舗出版社である。
オンデマンド出版がニュースで採り上げられたり、ネット書店の繁盛が話題に上がったりする中、リアルの書店の廃業が進むという悲しいニュースもある昨今の出版不況の世相の中、昨年は婦人画報社との提携もあった角川書店との業務提携解消問題に揺れた主婦の友社だが、当の角川書店傘下となった年、すなわち1999年に婦人画報社はフランスの大手出版社アシェットに買収された。
最近では『週刊タイタニック』なんて模型を作れる雑誌も出していて、私は以前に発売された「カティサーク号」の甲板部分すら出来ていないのをつい忘れて、書店で見かけると思わず手に取り、レジまで持っていきそうな衝動に駆られることもしばしばある。
閑話休題。さて、タイトルにも挙げた「時代の証言者」とは、読売新聞の解説欄にあるコーナーで、2月10日から始まっているのが、あの「VAN」の創始者、石津謙介氏の話である。
VANは、昭和53年4月6日には当時500億円の負債を抱えて倒産し、同年の10月12日には破産申告を受けているが、その精神は「ヴァンヂャケット」に引き継がれている。VANブランドの代表的なテイストであった"アイビールック"は、ときに"(銀座)みゆき族"とも言われたらしく、一時期の若者を中心に絶大な支持を受けていたそうだ。
「時代の証言者」の記事の中で説明のあった、石津謙介氏の作った「ボタンダウンクラブ」という会は、そのVANを愛好した方々によって結成されている集まりだそうだ。
また、記事の中では、"アイビールック"の説明として、「米国名門大学の風俗を採り入れたVANブランドのアイビールック」などという修飾を用いており、さぞやダンディーな雰囲気に変身できるのだろうと、思わず「米国名門大学出身」を飾りたい衝動に駆られる……。
そんな、"VANブランド"や"アイビールック"を日本に一早く紹介したのが、『婦人画報』の男性版である『男の服飾』という雑誌だった。この『男の服飾』こそが、『MEN’S CLUB』の前身の雑誌であり、かの石津謙介氏との繋がりも強い。
『VANグラフィティ アイビーが青春だった』というムックについては、今では私の手元にある。この本(ムック)を知ったのは、何も親が着ていたとか、よく服を買っていたからとかではない。何しろ発行年が1980年とあり、その頃の私は小学校にも上がっていない頃だ。ちなみに、まだ戦後まもない、VANが有限会社として設立した昭和26年という年は、親父は15歳だったそうだが、あまりの貧しさのために今まで"VAN"の名前すら聞いたことがなかったと言っていた。
このムックの存在を知ったのは、鹿島茂氏の著作、『この人からはじまる カップラーメンからキャバレーまで』の中の「VANヂャケットの時代 ――石津謙介」の項の冒頭で、氏の語った日常のエピソードの中でが最初であった。
ここで改めてこの本や、先の『VANグラフィティ アイビーが青春だった』を見返してみて、私の知らない時代の――、団塊世代が熱狂したという昔日の"風俗"に、ある種憧憬にも似た思いを馳せつつ、この「時代の証言者」という連載に興味深く読み入るのであった。
カテゴリー:書評