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「箱庭幻想」 ナチュール・クー・ドイユ ~世界を一望の下に~

 ――「テイト・ブリテン発世界巡回展 ヴィクトリアン・ヌード,―19世紀英国のモラルと芸術」展を見終えた足で、今度はそのまま上野駅から日比谷線へ乗って、一路六本木へと向かった(約25分)。以前にも何度か書いたが、都市部再開発事業の一環である六本木ヒルズを見に行くためという目的もあった。

 しかしメインの目的は、何といっても森アーツセンター52Fで開催中の「世界都市展 都市は空へ」を見に行くことであった。これも前々から雑誌などで見て、すごく行きたかったものである。

 日本をはじめとした、欧米、アジアの主要都市の模型が展示されている展覧会で、江戸開府400年事業の一環として開催されたとされる、六本木ヒルズオープニング展覧会である。
 このときの感動を思わず自分のホームページにも写真付きで載せてしまった程だが、展覧会&展望スペースに一人で2時間以上もいてしまった(笑)。
 ため息が出る程精巧に作られた都市の模型群。建物の上部には航空写真で撮影した写真を切り抜いた実際の写真が切貼りしてあり、単なるミニチュア製作として見ても驚いてしまう。

 これが何故そんなに面白いのか?
先にも書いたが、江戸開府400年事業の一環として開催されたということもあり、施設53Fの関連展示として置かれた「江戸マップ」などにも示される「江戸」に始まり、商業、IT、生活etc――、と高次の機能集積都市「東京」に至るまでの「都市の変容」、そしてかつて私も日記で触れたことのある、マンハッタンの模型で示された安藤忠雄氏などによるグランドゼロのモニュメントに見る「都市の再生」、そして、各国の都市を全て同じ縮尺下において模型化したという「都市の比較」という、およそ都市論の基本とも言うべき概念を、たったこれだけのスペースに全て凝縮しているという点に真の醍醐味があるのだと思う。

 私は学生時代に「東京学」というゼミを履修していたことがあった。勉強嫌いの私が唯一面白いと感じていた授業だった。この件については以前も書いていると思うので今回は割愛するが、この都市の模型には、かつて伊藤俊治氏がジオラマ論の中で書いたような、単なる写真史や美術史を超越した人類の辿ったあらゆる社会史、文化史、技術史(土木建築)、思想史などを含んだ、一大パノラマ史と呼べる壮観さがある。

 これが52Fの展望スペースの入場券で入場できるところに、私は思わず、ロバート・バーカーに始まる「パノラマ館」や、今回のタイトルも想起を得た、ジョセフ・コーネルによる「箱庭」をも思わせる、まさに「ナチュール・クー・ドイユ ~世界を一望の下に~」の幻想を見るような気がした。

 もしもまだ見られていない方がいれば、この展覧会は超お勧めである。今年の9月21日(日)までとのことなのでお急ぎ下さい。

カテゴリー:美術展

投稿者 cyberpoet : 2003年07月27日 23:48

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