「天才の誕生」 ~バルセロナ・ピカソ美術館展~
今日は午後から仕事が一つあったがすぐに終わった。帰社しようとしたが直帰できるようだったので、その足で上野に向かった。
9月21日より上野の森美術館で催されている「ピカソ 天才の誕生 バルセロナ・ピカソ美術館展」を見に行くためだった。
上野の森美術館では、99年にもピカソ展があり、パリ国立ピカソ美術館所蔵の作品が展示されたことがあったが、私がかつてピカソの作品展を見たことがあったのは、それと渋谷文化村で98年に行われた「ピカソと写真展」と「ピカソ展」くらいのものだ。しかも特に普段絵を描いているわけでもなく、専門的に勉強しているというような熱心なファンでもない。だからなのか分からないが、多くの人と同じように感動はすぐに薄れるもので、それだけに度々足を運んでしまうだけなのであった。
今回の目玉企画はチケットにも印刷された、ピカソ初期の傑作「初聖体拝領」かもしれない。キリスト教信者である人からすればどのような儀式なのか当時の光景をある程度想像出来るかもしれないが、14,5歳のときのピカソが妹のローラを写し取ったものとされる。
私は本家であるバルセロナのピカソ美術館には行ったことがない。この作品はピカソ一家がバルセロナに移り住んでからの、ピカソ初めの傑作と評されているが、確かにWEBや雑誌で見るのと違い、実際に目の前にすると思わず固唾を飲んでしまう程に特別な光彩を放っているように見える。
19世紀末のヨーロッパは激動の時代で、万国博覧会が何度も催されるなど科学や産業の一大発展の裏で、俗に言う世紀末思想が蔓延していた時代でもあった。ピカソが15,6歳のときには、今回の展覧会のもう一つの目玉作品である「科学と慈愛」という、あまりにも子供離れしたモチーフの作品が描かれた。先述の「初聖体拝領」同様、人物の配置など絵全体の構図や筆致、絵の奥にまだ何かが続いているような物語性がとても精微で、絵心のない私からすると思わずため息をこぼさずにはいられない。
そういった、画集などでは伝わらないインパクトを求めて、美術館に足を運ぶ人は非常に多いと思う。元々20世紀を代表する大芸術家の作品展示だということと、"バルセロナ美術館の一部改修工事の時期に合わせた貴重なピカソ初期作品の最初で最後の大量出展"という触れ込みで、大分以前より話題になっていた関係で入場者の数は非常に多く、入場規制や待ち時間さえあって中に入ってからも人の頭越しに見るのがやっとなくらいだった。世界的な画家の展覧会となると、このように非常に混雑することが多く、かつて渋谷文化村で行われたゴッホ展などは私も入場を諦めたことがあった。
いつかスペインやフランスに行くことがあったら、当地の陽光を浴びた後に是非ピカソ作品を一度拝みに行きたいと思っている感じである。若かりし頃のピカソが浴びた陽光と辿った軌跡とを共有出来る旅、旅行会社の企画などには今まで無数にあったのだろうが、今の私はとてもじゃないがそんなことも言っていられない。でも、いつか行きたい。もうこんな歳になってしまったが、若い時期にそういうことが出来ているような人たちが羨ましく思える今日である。
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