上野動物園は開園120周年!
自宅からは出るのに少し時間がかかるのだが、本日も訪れた上野は昔からとても好きな街だ。
山の手の閑静さと下町の活気さの出会う街、東北地方からの乗り入れがある終着駅(ターミナル)でもあり、かつての詩人が上京の時の思いを詩篇に綴った街――。
最近では隣の御徒町駅に大江戸線も通り(「新御徒町」駅=JRとは少し離れている)、特に乗降客も増えたと思う。JR上野駅前は、「変動は機会をつくる」という信念を持って「須田町食堂」をオープンさせ、当時の薄給のサラリーマンから支持を受けた聚楽チェーン創始者の加藤清二郎の偉業を損ねることなく、都市景観もぐっと近代的様相を帯びたような感じのデッキタイプの横断路が築かれている。さらに高架下にはatreのテナントがオープンカフェテラス方式で出店していて、グローバルな客層を迎え撃つ準備も出来たといったところだろうか。
ここ上野の駅前にある上野恩賜公園には、ル・コルビュジェが建てた日本で唯一の建造物である由緒ある国立西洋美術館の他、存在価値や収集品も含め、日本のトップクラスに位置づけされる美術館やその他の建築物がいくつか建っている。タイトルにある上野動物園も敷地の中にある。未だによく晴れた土日ともなれば、時に大行列で入園を待つ親子連れで賑わうことがある。上野動物園はご周知のように、あの涙なしではとても読めない名作絵本、『かわいそうなぞう』の舞台でもある。
私は今日の代休を利用して、前に回りきれなかった方の美術展、すなわち東京都美術館で開催中の「マルク・シャガール展」を見に行ったわけだが、終始小雨の降り続く感傷的な一日であった。個人的につけていた日記を読み返すと、前に同館の「版画家池田満寿夫の世界展」や、国立西洋美術館の「プラド美術館展」に行った際も雨だった。もちろん春夏秋冬晴天雨天を問わず、上野を歩いたことはある。いずれにしても共通して言えることは、あの独特な心象風景であろう。ただし都市に住む者が大概抱いている、あの癒しを求める感覚とは少し異なることだけは言っておこう。
サクラ、イチョウ、ケヤキetc……、意図的とも思える装飾、あのおよそ人間の考えられ得る自然界のジオラマ――、あるいは四季を通じて常に景観を楽しめる公園内の道路の造り。溢れ出るα波の恵みと、小鳥たちのさえずりによって、死んだような目で電車に乗り降りする者たちを優しく包み込む。雨で煙って油絵のように滲んだ街路樹、湿った落葉と土を濡らすかすかな雨音、わき立つような豊潤な土の匂い……、ひとたび敷地に踏み入れば、途端に胸を締め付けられるような感覚に襲われる言われ様のない哀愁と既視感とで病み付きになる……。
私はこのような感覚を享受出来ていることが、他の人以上にこの公園を楽しめているようで、いつも何か得をした気分で歩いていると思う。
それと、ここを訪れるカップルは客観的に見ると不思議と絵画の中の主人公のように、詩篇の中で語られる二人のように映るように感じられる。それほど、この公園の持つ力はすごいと思う。
上野恩賜公園の近くにお住まいの方、普段よく行かれる方も、再度違った感覚で敷地内を歩いてみて下さい。また、まだ行かれたことのない方も、一度はゆっくり時間をとって歩いてみることをお勧めします。
cf.愛読誌の一つ「芸術新潮」 ~特集:気になるガウディー(生誕150年)~
http://www.webshincho.com/geishin/top.html
カテゴリー:[ 都市を遊歩する ]